2011年8月31日水曜日

夏の終わりのSPring8


今日はBL40XU@SP8です。

雑務&新しいX線1分子計測用の検出器をテストするために来ました。
新しい検出器でいろいろ四苦八苦しましたが結局ソフトのバグでした。

ちゃんちゃんということで

これから片づけて新幹線で帰ります。




2011年8月29日月曜日

統計力学の不思議



首相がまた変わる。
日本はどこへ向かうのだろうか。。。


政治的な議論の時、いつの時代もつきまとうある言葉がある。
それは「平等」という言葉だ。

実は、「平等」な社会を目指します、と言うだけでは、何も言っていないに等しい。
たとえば、
「結果の平等」と「チャンスの平等」では全く意味合いが異なる。

前者は、要するに仕事の質に関係なく給料を同じにするという考え方だ。
一方、後者は世襲などを排して、誰もが同じようにチャレンジできるようにするのが重要だという考え方だ。通常後者では、大きな格差が生まれる。
現実問題としては、この両方の考え方を程よく取り入れるのが政治の役割だろう。

ここでは、「チャンスの平等」について考えてみる。
アメリカのように「チャンスの平等」を指向した社会では、たいてい格差社会となる。
ほとんどの人は、この原因は努力をする人としない人の差だと考える。

だが、はたして本当だろうか?
裏を返せば、全員が全く同じ能力を持っていて平等なチャンスがあれば、同じくらいの所得の社会になるのだろうか?

答えはNOだ。


この本では、サイコロを使用した実験を用いて、上の問いへの答えを教えてくれる。
直感的な考えとは異なる世界が見えてくる。
そして、それが統計力学の本質なのだ。
高校生でも読めるレベルの語り口で、統計力学の考え方を教えてくれる。

大沢流 手づくり統計力学

2011年8月28日日曜日

EBSA2011@Budapest

ハンガリーのBudapestで開催された「8th European Biophysics Congress」に参加してきました.会場はドナウ川沿いのエトヴェシュ・ロラーンド大学(Eötvös Loránd Tudományegyetem, ELTE)です(ここがジョン・フォン・ノイマンの母校だというのはあとで知りました).とにかく町並み,建築物が美しい!

ただ,私が訪れた1週間は酷暑で35度以上の日が続き,学会前半は少々バテ気味でした.天気はこんな感じ.


今回私はポスター発表でした.見に来てくれた人とは深いディスカッションはできたのですが,残念ながら人数が少なかったです.メイン会場から離れていたこと,唯一?冷房のないサウナ状態だったことも原因でしょうが,題目とabstractを工夫した方が良いかもしれません.
また,我らが「X線1分子追跡法」については手法の詳細な説明が必要ということも再認識しました.


2011年8月26日金曜日

爆弾低気圧

ここ佐々木研がある7階では天気の変化が良く見えます。

学生と助教さんの居室は北西に向いているので
夕日を見ながら遠い目をしていることもしばしば。

ただ今日はまだ3時過ぎだというのにこの雨。



雷も鳴っています。

雷は17世紀にベンジャミン・フランクリンが凧を使って電気だということを発見したようです。

発見よりも怖いもの知らずのベンジャミンさん恐るべしです。


2011年8月22日月曜日

すごい実験


我々の使用している放射光施設SPring8は、第3世代と呼ばれている。
放射光とは、簡単に言うと、ものすごく早いスピードに加速した電子を磁場で曲げる時に発生する非常に明るい光のことである。その明るさゆえに様々な物質の状態を観測することができる。

第3世代ということは、当然第2、第1世代もあったわけだし、今後第4世代も現れる。(現在、開発がほぼ終わっているX線自由電子レーザーが第4世代となるだろう。)

初期段階は、原子核関連の実験などに用いられていた加速器から出ていて、もともとは捨てられていた光を利用して実験をしていた。この時代を第1世代という。
この後、放射光を得ることだけを目的として作られた施設が第2世代であり、さらに新しい技術が加わったのが第3世代である。

歴史からも分かるように、放射光と加速器は原理は同じであり、施設を建設する時の技術は共通部分も多い。
そのため、我々の使用するもう一つの放射光施設、高エネルギー加速器研究機構には、放射光の他にもいくつかの加速器施設がある。

放射光を使用している人は、いわゆる物性の専門家が多く、中には生物や化学が専門の人もいる。一方、加速器は素粒子物理学が専門の人が多く、物性とは現象のエネルギースケールが異なる。放射光のユーザーから見ると、加速器や素粒子は全く別の学問分野で、敷居が高いと感じているというのが正直なところだ。

以下の本では、
そんな素粒子物理の専門家が高校生に向けて講義した内容を書籍にまとめたものである。成功したらノーベル賞ともいわれる「すごい実験」を進めている著者は、金髪で長髪という非常に自由なスタイルで研究に励んでいる。
この本では、素粒子物理学の雰囲気を感じることができる。

すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線

2011年8月15日月曜日

次元をあげる

机の上に2本のUSBメモリーがある。
6年ほど前に購入したものと、最近購入したものだ。

見た目はそっくりだ。そして、買った時の値段もほとんど同じ。
だが、古いほうは128MBで新しいのは8GBだ。

驚くほど速い情報量の増大は、すなわち、微細加工技術の進歩でもある。
同じ大きさのものに、より多くの情報を蓄えるには当然、同じ量の情報をより小さい領域に書き込む必要がある。

今まで、ものすごい速さで進歩してきた微細加工技術であるが、物理的な限界が近づいてきたのも事実だ。
ひとつ考えられる今後の方針としては、微細加工の3次元化かもしれない。(技術的に困難はたくさんあるが)

そうすると、情報の扱いが2進法から3進法に代わる可能性まである。
3進法、我々が使う10進法、そして現在のコンピュータの2進法どれも似たように感じるが、若干の違いはある。

例えば、10進法の0.1を2進法で表示しようとすると、循環小数になり正確には記録できない。
0.001100110011・・・となる。


また、3進法は最も効率良く情報を蓄えることが知られている。
試しに、10進法と3進法の情報蓄積を考えてみる。
10のカウンター(10進法)が3つあるとする。この場合10の3乗で1000の情報を蓄えられる。このとき、10×3(30)の値に対して1000の情報と考える。
一方3のカウンター(3進法)では7つもあれば、3の7乗(2187)の情報になる。
この場合は3×7(21)の値に対して2187なので10進法よりもかなり効率がいい。
ちなみにこれは、3がネイピア数eの値に近いことに由来する。


この本は、記数法の他にも群論などさまざまな数学の話題が分かりやすく書かれている。

ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方

2011年8月8日月曜日

印象派物理学

「それは私の専門分野ではないので・・。」

学問の世界では良く聞く言葉である。
科学の世界は、情報が莫大に蓄積されすぎてしまい、分野は細分化され一人の人間の関われる分野はどんどん狭くなっている。

実際、比較的狭い分野に集中することで成果をあげていく科学者が多い。

このような状況の中で、例外的な研究生活を送った科学者がいる。
ピエールジル・ドジャンヌ、フランスの科学者である。


ドジャンヌは超伝導、磁性、液晶、高分子など様々な分野を10年くらい研究しては分野を変えていった。
すごいのは、その多くの分野で活躍していることである。そして、分野を変えるときには、今まで関わっていた分野の本を執筆している。

1991年には、高分子分野の研究でノーベル賞を受賞した。
その時の講演タイトルが「ソフトマター」である。
今では、ソフトマターという言葉も高分子などを表すのに一般的に使われているが、この講演で初めて使われた言葉である。


ドジャンヌが大きな成果をあげた一つの理由は、細部ではなく、心に映る本質的な現象を見ようとしたことにある。
その手法が、あたかも絵画の印象派と似ているから、「印象派物理学」とも呼ばれている。


残念ながら、ドジャンヌは2007年に亡くなった。

この本は彼の最後の著作である。
「しずく・あわ」といった身近にある現象を「印象派」の観点でとらえている。
付属CDの動画も楽しめる。

表面張力の物理学 第2版―しずく、あわ、みずたま、さざなみの世界 (物理学叢書 104)

Thermec2011@ケベック



カナダのケベックで行われた国際会議、Thermec2011に行ってきました。

国際学会で初の招待で行きました。材料系だっただけに金属、その他材料や、X線・中性子線を使った材料の計測、衝撃・高圧の話を聞いてきました。

最近あまり馴染みのない分野だっただけについていくのがやっとでしたが。。。。

ケベックはというと川のほとりの古い城壁がある町でした。町の人はフランス語だし、街並みもなんかフランスっぽい。そして町の匂いもフランスでした。




発表はと言うとやっぱり英語をがんばらないと。。というのが感想です。

2011年8月1日月曜日

就職活動に

ここ数年間、就職関連の書籍が増えているように感じる。

たしかに、就職は人生の大きな転機であるし、就職環境が目まぐるしく変化しているのも事実だ。
このような中で、しっかりと情報を集めて対処するのはもちろん重要なことである。

大学3年生の時の私も、進学か就職かで迷っていた。
当時の私は、就職説明会のような作られたイベントよりも生の声が聞きたいと思い、某大手企業で活躍している先輩をOB訪問した。

その時一番印象に残ったのが、「営業に仕事の基本がつまっている」という言葉だ。

学生に「営業」は人気がない。
しかし、企業にとって「営業」の役割は非常に大きいということを教えてくれた。

考えてみれば、研究でも、最近は共同研究が増えている。
つまり、「営業」は研究の分野でも重要なものと言える。

以下の本はストーリーを通して「営業」の素晴らしさを説いている。
これから就職活動をする方、将来研究者になるが共同研究の多い分野だという方におすすめだ。



営業の魔法―この魔法を手にした者は必ず成功する