ラベル 今日の名著 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 今日の名著 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年3月9日金曜日

研究の効率化


冬の終わりは、就職活動が忙しくなってくる時期である。
そんな時に、 「君は、このまま研究を続ける、それとも仕事する?」 といった会話がなされる。
研究と仕事は違うものだと考えた上での発言である。

ただ、研究という活動の、
考えて(Plan)、実行して(do)、評価して(Check)、改善する(Act) というステップを考えると、
本質は他のどんな仕事とも変わらない。

世間では、このようなステップをPDCAサイクルと呼んで、 意識することで、仕事の効率化を目指したりしている。

もちろん、 「研究」では、考えることの重要性が非常に大きいという特徴がある。
そして、「研究」における「考える」ステップは、 経験やひらめきといった捉えどころのないものが重要であることもよくわかる。
しかし、 世の中には、経験が必要だと考えられていた業界に、論理的な思考を持ち込んで成功した例も数多い。

研究のステップにも、論理的な思考を導入することが有用かもしれない。
この本は、 コンサルタントによって書かれた、論理的思考の本である。
研究にもスピードが求められる現在、 このような思考も研究に応用できるのではないだろうか。
新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術

2011年11月29日火曜日

名のない科学者

科学者のイメージとして、
他のグループよりも少しでも早く論文発表をすることで
その現象の発見者としての栄誉を得られるというものがある。
もちろん、かなりの分野でそれは正しい。

例えば、iPS細胞のような再生医療の分野などはかなり競争が激しいと聞く。
お金が絡む分野では特許権を巡っても熾烈な競争が繰り広げられる。


だが、
世の中には例外がつきもので、真逆の科学者たちも存在する。
それは、「暗号」の分野だ。
当然、暗号にかけるのは誰かに知られたくない内容だ。
その中には、政治的に重要な機密情報も含まれる。
もしも、他国の機密情報を知ることができれば、外交上とてつもないメリットがある。
もちろん、逆も然りである。

実際、歴史上、暗号の解読によって歴史が動いたといえることも数多い。
時には、戦争の情勢にも多大な影響を与える。

各国の政府機関が暗号の研究機関を置くのは当然だろう。
そして、その研究内容はトップシークレットとなる。


現在では、第二次世界大戦前後に関する情報公開が進んでおり、大学で発明されたと思われていた暗号システムが、ある国の情報機関でもっと早く発明されていたといったことも明らかになっている。


インターネットによる情報化社会が進んだ現在、暗号の重要性はより高まっている。
そして、最新の暗号に関する諸問題は、量子コンピュータができるのかなど最先端の科学とも関連している。
今日もどこかで名のない科学者たちが暗号の研究を進めている。



暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

2011年10月24日月曜日

フェルマーの最終定理

就職活動のエントリーシートや奨学金の応募資料など、
自分の特徴をアピールしろという機会は多い。
紙に何行かの文章を書くだけで、自分の本質を表すことができるとは
誰も思っていないのだろうが、
書かなければ仕方がないので、必死に書く。
そんな作業につかれた友人が、
「私には、たくさんの長所があるが、この余白は小さすぎて書くことができない」と書いて企業に送ろうかなという冗談を言っていた。

もちろん、これはフェルマーの最終定理を念頭に置いた冗談である。
17世紀の数学者のフェルマーは、本の横にちょっとしたメモの形で数学的に重要なことを書いておく癖があった。
彼の死後、息子によってメモが公開され、数学者たちにフェルマーの偉業が知られることとなった。
数学的に重要ないくつもの定理が、フェルマーの不完全なメモをもとにして、数学者達の努力によって厳密に証明されたが、一つだけ証明することができない問題があった。

3 以上の自然数 n について、x^n + y^n = z^n となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない
という定理だ。
この定理の下には、フェルマーによって
「私はこの定理を証明する驚くべき方法を見つけたが、余白が小さくて書くことができない」と書いてあった。


一見簡単なこの定理だが、フェルマーの死後300年以上にわたって、さまざまな数学者が挑戦したが難攻不落の城のように誰も証明に成功しなかった。

だが、
数学のさまざまな分野が発展するにしたがって光が見えてきた。
その過程で、日本人数学者が果たした役割も大きい。

そしてついに1994年、数学者ワイルズによって完全に証明された。

この本は、
フェルマーの最終定理が証明されるまでの過程を、関係者への取材を基に、人間ドラマを中心に描いている。

数学的な知識がなくても楽しめる。
こんな一見簡単そうな問題から、
ここまで壮大なドラマが生まれるのかと驚かされる。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

2011年10月17日月曜日

科学者とは

「わかる」という単語を変換しようとすると、
「分る」、「解る」、「判る」がでてくる。
現代の日本語ではどれでも大差はないと思うが、
語源を想像すると面白い。

「分る」は分割するという意味からきていて、分析好きの人にいいだろう。
「解る」は解答という意味からきていて、答えが存在する問題にいいと思う。
最後の、「判る」は判子(はんこ)という意味から来ていて、いかにもお役所的な
対応をするのによさそうだ。
 

さて、科学者の仕事を考えてみる。
いろいろな科学者を見ていると、「わかる」ということに対して、人によってスタンスが違うのが面白い。
たとえば、この問題の答えが「解った」というニュアンスで発表する人、
「分析」を中心に仕事を進める人、これは有名な先生が主張しているから「判った」というような権威主義の人など、科学者の数だけ考え方が違う。


科学者という仕事が、正直とらえどころがないのは、科学者が自由な職業だからだ。
この本では、
具体例を通じて、科学者の仕事の本質を考えさせてくれる。

筆者によると、科学者になるには究極的には以下の問題が解ければいい。
1)何かおもしろい問題を考えよ。
2)1)で作った問題の答えを考えよ。

確かにこれは本質をついていると思う。

科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか (中公新書 (1843))

2011年10月11日火曜日

ついに発売 ~その2~

佐々木研では放射光をメインに使用しているが、
使用波長はX線なので、
X線の基礎を学ぶ必要がある。

新たな分野を学ぶ時は、
当然、教科書のような本があるにこしたことはない。

現在活躍している先生に聞くと、
必ずと言っていいほど、
X線回折・散乱技術〈上〉という菊田先生の本を紹介していた。

だが、これには大きな問題があった。
もう絶版になってしまっていたのだ。

現在は、インターネットの時代ということで、
ネットで探すと、
存在はするものの、一時期は最低価格でも2万円を超える値がついていた。


そんな中、
菊田先生による X線散乱と放射光科学 基礎編がついに発売された。
価格は3990円でやや高いが、一時期の中古品価格の高騰を考えると安くも感じられる。

X線の入門のために。

P.S.
2011年10月11日現在、X線回折・散乱技術〈上〉のamazonでの最低中古品価格は
8000円まで下がっている。
古本屋の方々の目利き能力に脱帽。


X線散乱と放射光科学 基礎編

2011年10月3日月曜日

基礎体力をつける(物理数学)

ラグビーワールドカップがニュージーランドで開催されている。
といっても、残念ながら日本は予選で敗退が決定してしまった。

日本代表も着実に力をつけていると思う。
実際、日本代表の奪うトライは美しいものが多い。
しかしながら、世界のレベルとはまだまだ隔たりがあるのも事実だ。

何がそんなに違うのか?
一つ明らかなのは、近年は大型な日本人選手も増えてきてるとは言え、
やはり体格、筋力において劣るということだ。
基礎的な体力の違いは大きい。

基礎体力の重要性は何もスポーツに限った事ではない。

物理における基礎体力の一つは数学である。
例えば、ロシアの天才物理学者、ランダウは数学の力をつけてから
物理を学ぶべきだと考えていたらしい。

もちろん、数学をしっかり学んできてから、物理に入れるのならばそれに越したことはないが、なかなか時間や労力的にも厳しいものがある。
エッセンスをサクッと学びたいというのが本音の方も多いだろう。

この本は、やや古い本だが、本質を突いた本で、長い間売れ続けている。
いつの間にか、
普及版としてブルーバックスからの発売に変わっていた。
新書だとちょっと読みにくい気もするが、お手頃価格で手に入る。



物理数学の直観的方法 〈普及版〉 (ブルーバックス)

2011年9月26日月曜日

ついに発売! ~放射光の一般書~

久しぶりに会った友人と会話すると、
当然、「今何やっているの?」という話になる。

研究をしているというと、
もちろん、「専門は?」と聞かれる。


理系の人ならまだしも、文系に進んだ人に
自分の専門を簡単に説明するのは難しい。
佐々木研究室の場合、「生物物理」もしくは「放射光」という
キーワードを出すことになる。

この時、特に「放射光」の説明は大変だ。
「放射光」が科学に寄与している割合は非常に大きいと思うが、
知名度がかなり低いのもの事実だ。

そんな状況を憂慮してか、
ついにブルーバックスから一般向け放射光の解説本が
発売された!

「放射光」という言葉になんとなく興味を持った方は是非。
佐々木研究室がお世話になっている方々も執筆に関わっています。

放射光が解き明かす驚異のナノ世界 (ブルーバックス)

2011年9月19日月曜日

生物の眺め方

高校時代初めて、指数・対数を習った時は、何の役に立つのか分からなかった。
特に"log"なんていう記号に馴染めなかった。

そんなときに読んだ本が、「ゾウの時間 ネズミの時間」だった。
生物のサイズと時間などの関係が指数・対数を使うときれいに説明できてしまう。

月日は経ち、
その本の著者、本川 達雄先生にも定年の時期がやってきた。

先生の長年の蓄積をまとめたのが、
「生物学的文明論」である。
やや、「ゾウの時間 ネズミの時間」と重複する内容もあるが、
先生の鋭い視点がちりばめられていて面白い。

生物の知識があまりなくても楽しめる。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

生物学的文明論 (新潮新書)

2011年9月12日月曜日

研究室の雰囲気

研究室を見学に来ていただいた方から良く受ける質問として、
研究室の雰囲気はどうですかというものがある。
できるだけ具体的に答えるように努力をするが、
質問自体が抽象的なので、
伝わっているかわからない。

はじめの頃は、
同期の学生さんによっても雰囲気は変わるよという点も指摘しいた。
だが、
最近、いろいろな研究室を観察していると、
研究室の雰囲気は、やはり研究室の主催者(教授)の影響を
大きく受けているように感じるようになった。

考えてみると、
大学教授ほど自由度の大きい職業は少ない。
職業の分類としては同じ「教授」でも、
人によって仕事のスタイルは千差万別だ。

教授には個性的な人が多く、どうしても、
周りのメンバーは「教授」の影響を受け続けることになる。
すると、
1年もすると、「教授」のスタイルに染まってくるのだろう。

やはり研究室の雰囲気を知るにはまず、
教授を見るのがいいのかもしれない。
もちろん他のメンバーも重要だけれども。

以下の本はとある教授の回顧録のような内容である。
様々なエピソードがあり楽しめる。


大学教授という仕事

2011年9月5日月曜日

ざっくり確率統計

「神はサイコロをふらない」

量子論の発展時期に、
ミクロの世界では、場所を確率的にしか表せないという
量子論の根本に懐疑的だったアインシュタインによる有名な言葉である。

現在では、一部反対意見もあるものの、
一応ミクロの世界は確率的だという解釈(コペンハーゲン解釈)
に落ち着いている。

量子論とは関係ない領域でも、
確率、統計は重要になる。

確率を数学的に考えるようになったのは、
やはり、博打(ばくち)からの要請だったらしいが、
現在では数学的にも発展し、
難しい分野となっている。

この本では、
ざっくりと確率、統計の基礎を見通せる。

キーポイント確率統計 (理工系数学のキーポイント 6)

2011年8月29日月曜日

統計力学の不思議



首相がまた変わる。
日本はどこへ向かうのだろうか。。。


政治的な議論の時、いつの時代もつきまとうある言葉がある。
それは「平等」という言葉だ。

実は、「平等」な社会を目指します、と言うだけでは、何も言っていないに等しい。
たとえば、
「結果の平等」と「チャンスの平等」では全く意味合いが異なる。

前者は、要するに仕事の質に関係なく給料を同じにするという考え方だ。
一方、後者は世襲などを排して、誰もが同じようにチャレンジできるようにするのが重要だという考え方だ。通常後者では、大きな格差が生まれる。
現実問題としては、この両方の考え方を程よく取り入れるのが政治の役割だろう。

ここでは、「チャンスの平等」について考えてみる。
アメリカのように「チャンスの平等」を指向した社会では、たいてい格差社会となる。
ほとんどの人は、この原因は努力をする人としない人の差だと考える。

だが、はたして本当だろうか?
裏を返せば、全員が全く同じ能力を持っていて平等なチャンスがあれば、同じくらいの所得の社会になるのだろうか?

答えはNOだ。


この本では、サイコロを使用した実験を用いて、上の問いへの答えを教えてくれる。
直感的な考えとは異なる世界が見えてくる。
そして、それが統計力学の本質なのだ。
高校生でも読めるレベルの語り口で、統計力学の考え方を教えてくれる。

大沢流 手づくり統計力学

2011年8月22日月曜日

すごい実験


我々の使用している放射光施設SPring8は、第3世代と呼ばれている。
放射光とは、簡単に言うと、ものすごく早いスピードに加速した電子を磁場で曲げる時に発生する非常に明るい光のことである。その明るさゆえに様々な物質の状態を観測することができる。

第3世代ということは、当然第2、第1世代もあったわけだし、今後第4世代も現れる。(現在、開発がほぼ終わっているX線自由電子レーザーが第4世代となるだろう。)

初期段階は、原子核関連の実験などに用いられていた加速器から出ていて、もともとは捨てられていた光を利用して実験をしていた。この時代を第1世代という。
この後、放射光を得ることだけを目的として作られた施設が第2世代であり、さらに新しい技術が加わったのが第3世代である。

歴史からも分かるように、放射光と加速器は原理は同じであり、施設を建設する時の技術は共通部分も多い。
そのため、我々の使用するもう一つの放射光施設、高エネルギー加速器研究機構には、放射光の他にもいくつかの加速器施設がある。

放射光を使用している人は、いわゆる物性の専門家が多く、中には生物や化学が専門の人もいる。一方、加速器は素粒子物理学が専門の人が多く、物性とは現象のエネルギースケールが異なる。放射光のユーザーから見ると、加速器や素粒子は全く別の学問分野で、敷居が高いと感じているというのが正直なところだ。

以下の本では、
そんな素粒子物理の専門家が高校生に向けて講義した内容を書籍にまとめたものである。成功したらノーベル賞ともいわれる「すごい実験」を進めている著者は、金髪で長髪という非常に自由なスタイルで研究に励んでいる。
この本では、素粒子物理学の雰囲気を感じることができる。

すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線

2011年8月15日月曜日

次元をあげる

机の上に2本のUSBメモリーがある。
6年ほど前に購入したものと、最近購入したものだ。

見た目はそっくりだ。そして、買った時の値段もほとんど同じ。
だが、古いほうは128MBで新しいのは8GBだ。

驚くほど速い情報量の増大は、すなわち、微細加工技術の進歩でもある。
同じ大きさのものに、より多くの情報を蓄えるには当然、同じ量の情報をより小さい領域に書き込む必要がある。

今まで、ものすごい速さで進歩してきた微細加工技術であるが、物理的な限界が近づいてきたのも事実だ。
ひとつ考えられる今後の方針としては、微細加工の3次元化かもしれない。(技術的に困難はたくさんあるが)

そうすると、情報の扱いが2進法から3進法に代わる可能性まである。
3進法、我々が使う10進法、そして現在のコンピュータの2進法どれも似たように感じるが、若干の違いはある。

例えば、10進法の0.1を2進法で表示しようとすると、循環小数になり正確には記録できない。
0.001100110011・・・となる。


また、3進法は最も効率良く情報を蓄えることが知られている。
試しに、10進法と3進法の情報蓄積を考えてみる。
10のカウンター(10進法)が3つあるとする。この場合10の3乗で1000の情報を蓄えられる。このとき、10×3(30)の値に対して1000の情報と考える。
一方3のカウンター(3進法)では7つもあれば、3の7乗(2187)の情報になる。
この場合は3×7(21)の値に対して2187なので10進法よりもかなり効率がいい。
ちなみにこれは、3がネイピア数eの値に近いことに由来する。


この本は、記数法の他にも群論などさまざまな数学の話題が分かりやすく書かれている。

ベッドルームで群論を――数学的思考の愉しみ方

2011年8月8日月曜日

印象派物理学

「それは私の専門分野ではないので・・。」

学問の世界では良く聞く言葉である。
科学の世界は、情報が莫大に蓄積されすぎてしまい、分野は細分化され一人の人間の関われる分野はどんどん狭くなっている。

実際、比較的狭い分野に集中することで成果をあげていく科学者が多い。

このような状況の中で、例外的な研究生活を送った科学者がいる。
ピエールジル・ドジャンヌ、フランスの科学者である。


ドジャンヌは超伝導、磁性、液晶、高分子など様々な分野を10年くらい研究しては分野を変えていった。
すごいのは、その多くの分野で活躍していることである。そして、分野を変えるときには、今まで関わっていた分野の本を執筆している。

1991年には、高分子分野の研究でノーベル賞を受賞した。
その時の講演タイトルが「ソフトマター」である。
今では、ソフトマターという言葉も高分子などを表すのに一般的に使われているが、この講演で初めて使われた言葉である。


ドジャンヌが大きな成果をあげた一つの理由は、細部ではなく、心に映る本質的な現象を見ようとしたことにある。
その手法が、あたかも絵画の印象派と似ているから、「印象派物理学」とも呼ばれている。


残念ながら、ドジャンヌは2007年に亡くなった。

この本は彼の最後の著作である。
「しずく・あわ」といった身近にある現象を「印象派」の観点でとらえている。
付属CDの動画も楽しめる。

表面張力の物理学 第2版―しずく、あわ、みずたま、さざなみの世界 (物理学叢書 104)

2011年8月1日月曜日

就職活動に

ここ数年間、就職関連の書籍が増えているように感じる。

たしかに、就職は人生の大きな転機であるし、就職環境が目まぐるしく変化しているのも事実だ。
このような中で、しっかりと情報を集めて対処するのはもちろん重要なことである。

大学3年生の時の私も、進学か就職かで迷っていた。
当時の私は、就職説明会のような作られたイベントよりも生の声が聞きたいと思い、某大手企業で活躍している先輩をOB訪問した。

その時一番印象に残ったのが、「営業に仕事の基本がつまっている」という言葉だ。

学生に「営業」は人気がない。
しかし、企業にとって「営業」の役割は非常に大きいということを教えてくれた。

考えてみれば、研究でも、最近は共同研究が増えている。
つまり、「営業」は研究の分野でも重要なものと言える。

以下の本はストーリーを通して「営業」の素晴らしさを説いている。
これから就職活動をする方、将来研究者になるが共同研究の多い分野だという方におすすめだ。



営業の魔法―この魔法を手にした者は必ず成功する

2011年7月25日月曜日

構造生物学入門

今年も高校野球の季節がやってきた。
各地で熱い試合が繰り広げられている。
試合の数だけドラマがある。
いや、選手、監督、マネージャーなど、関係する人の数だけドラマがあると言っていいかもしれない。

もちろん、科学の分野でも、科学者の数だけドラマがある。

人は、熱いドラマに心を打たれ、強く記憶に残る。
新たな分野を学ぶ時も、ストーリーと一緒に学ぶといいかもしれない。

以下の本は、
構造生物学の基礎を、関連する研究でノーベル賞を受賞した人々のドラマを中心にして解説している。科学者の生い立ちなども書いてあり、楽しめる。


ノーベル賞の生命科学入門 構造生物学の発展 (KS生命科学専門書)

2011年7月18日月曜日

計測法の概要をつかむ

科学は、新規な計測法とともに発展してきたと言っても過言ではないほど科学にとって計測法は重要である。

新たな計測法を考えた人物として、古くはガリレオが挙げられる。
ガリレオと言うと、脈拍で教会のシャンデリアの揺れを測定したという逸話があるが、実はこれは史料に基づいたものではない。

実際に記録に残っている実験としては、斜めに置いた板の上を転がるボールの時間を測定している。その時に、時間を計るのにガリレオが用いたのは何であろうか?


実は、歌である。
合唱団で歌う場合は、毎回、歌うのにかかる時間がかなり正確になる。
それを利用して時間の計測をしたのである。
なんとも原始的に思えるが、当時としてはそれが時間計測の限界であったのだろう。


もちろん現在では、
数えきれないほど多くの計測法が存在する。
そして、強力な計測からは、日々新たなサイエンスが生まれている。
しかしながら、計測法の種類が多いうえに、計測機器はブラックボックス化されているものも多い。計測機器について学ぶのは、特にまだあまり実験に触れていない学部生にとっては大変である。

この本は、ざっくりとではあるが多数の計測法について非常に分かりやすい説明がされている。


なっとくする機器分析 (なっとくシリ-ズ)

2011年7月11日月曜日

情報の洪水の中から浮かび上がるもの

放射能汚染がとまらない。

放射能という言葉に馴染みのない方は、不安に感じている人も多いだろう。
安全性に関してこれだけ情報が錯綜してしまった原因は、放射線が生物に対して与える影響について分かっていない部分が多いことがあげられる。
生物というのは、未だに科学にとって複雑なシステムであり、一筋縄では理解できない。

だが、放射能という物理現象に限ってみてみると、かなりのことが理解できていると言える。放射能に関する現象は、理論的な数式で表すことができ、現象をその数式でしっかりと説明できる。今回の事故のように、測定機器まで壊れてしまえばお手上げだが、しっかりとデータさえあれば、現在の技術で、怖いほどピタリと現象を予測できてしまうのである。


理論的に良く分かっている現象なのであれば、さぞかし単純だと思うかもしれないが、実は一つの放射性原子を考えるとそうではない。一つの原子がいつ放射線を出すかかというのは、確率的な現象だ。つまり崩壊する確率は分かっているが、いつ崩壊するかは分からないということである。一つの原子の変化を正確に予測できなくても、理論的にかなり正確に予想できるのは、我々のスケールの世界にはあまりにも多くの数の原子があるからだ。膨大な数になれば、統計的に事象をとらえれば、ほぼ完ぺきに近いほど正確に予想できるのである。


さて、我々人間は、実に気まぐれだし予想なんかできそうにない。例えば、交通事故を考えると、事故の数だけ原因があるとも考えられる。たまたま体調が悪かったとか、たまたまその日だけ夫婦喧嘩をしたとか、いくらでも特別な事情があるだろう。しかし、ひたすらデータを蓄えて統計的に見ると、規則性が浮かび上がってくる。どのような道路で事故が起こりやすいか、どんな時間に起こりやすいか、どのような人が事故を起こしやすいか・・・。統計のなせる業である。


インターネットの発達した現在は、情報を蓄え、分析するコストが格段に安くなった。また、クレジットカード、個人情報を登録して利用するサービスなど、情報量も増えた。洪水のように情報が世界を駆け巡っている。この情報をうまく解析すれば、なにか特別な法則が見えてくるかもしれない。あるいは、あなたの知らないうちにあなたの行動を分析されているかもしれない。

この本は、
近年急激に増える様々な統計的手法利用の具体例をわかりやすく示している。
そんなことまで分かってしまうのかということも多い。


その数学が戦略を決める (文春文庫)

2011年7月4日月曜日

フェーズが変わった

「医者になるには、学力が必要だと思っていたけど、違った。医学部に入った後は、学力よりも根性と体力が必要だった。」
医学部の友人がぼやいていた。

人は人生の中で何度も局面の変化を迎える。
若いころの例としては、学校の変化、就職などがわかりやすい。
同時に、時世も変化を続けている。
そして、時にはその変化がものすごく急激に起こる。
現在も、時世が大きく変化している。

時世が大きく変化する時代は、世の中の不安が大きくなる。
人間は誰も、今までと変わるということに抵抗感を示すのであろう。
だが、大きな不安の中に、希望も確かに存在する。
問題は、その希望を大きく膨らませていくことができるかだ。


歴史を考えると日本は何度か、激動の時代を経験している。
その中の一つとして明治維新が挙げられる。
なにしろ、260年以上続いた徳川幕府がひっくり返るのだから、あまりにも大きな変化だ。黒船が現れ、誰もが今の制度ではいけないと感じながらも、一方で当時の常識に縛られていた。そのような中で、当時としてはとびぬけた思考と実行力を持ち、時代を大きく動かした男がいる。坂本龍馬(竜馬)だ。

この本は、徹底的に史料を調べ、現地調査も行ったうえで描かれている。
ソフトバンクの孫正義氏にも大きな影響を与えたそうだ。
変化の激しい時にこそ、読むべき本だと思う。
心を熱くしてくれる。

p.s
佐々木教授は司馬遼太郎記念館で感動したそうです。
司馬遼太郎記念館
http://www.kanzaki.com/docs/htminfo.html

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

2011年6月27日月曜日

数学にときめく

「趣味は何ですか?」
初対面の相手にする定番の質問である。
学部3年くらいまでは、「趣味」なんて聞かれたって、「俺はいろいろなことをやっているから、ありすぎて簡単に答えられないな」なんて思っていた。
だが、月日は流れ研究生活が始まると、かなりの時間が研究やら勉強やらに費やされるようになる。
すると、ここ最近は研究室と家の往復しかしていないななどということになる。

もちろん、「僕の趣味は研究です」といって研究に打ち込むのもいいだろう。
とはいえ、研究から離れて一息つく時間も必要だ。

「趣味」を持つことはいいことだが、
大学院生にとっては大きな問題が一つある。
「趣味」にはたいていお金がかかるのである。

高校時代の数学の先生が、
将来「趣味」にお金をかけたくなければ、
数学を「趣味」にすることですと言っていた。(何という我田引水(笑))

今となっては、確かにそうかもなと思う。紙と鉛筆と問題があればいいのだ。
世の中には数学嫌いが多い印象があるが、小学校低学年では算数好きの子が多いことからもわかるように、数学はうまく理解できたり、問題に解答できた時の満足度は非常に高い学問だと思う。
ただ、一方で分からなくなってしまった時のストレスも大きい。

数学を「趣味」にするには、教材が重要だ。

以下の本は、
主人公の中学/高校生達がお互いに問題を解きながら学んでいく物語である。
思考の過程の描写も素晴らしいし、全体をストーリーが流れていてそれも楽しめる。
非常に簡単なことから始まるが、物語を楽しんでいるうちにかなり高度なところまで学べてしまう。

理系の人には数学のレベルも上がり一石二鳥の本だ。
現在4冊刊行中。

数学ガール/乱択アルゴリズム