今週、佐々木教授とChangくんが誕生日を迎えるということで、ケーキでお祝いしました!
おめでとう 49歳、26歳!
2011年5月31日火曜日
2011年5月30日月曜日
物理が専門の方へ-生物入門
高校の理科は物理、化学、生物、地学といった具合に分かれている。もちろん、これはこれで意味のある分け方なのであるが、学問の世界になると、それらの境界線は微妙である。そして、そういった境界領域には、多数の面白いテーマがある。これは、境界領域が面白いというよりも、ある分野に他分野の考え方を取り入れることによって、新たな面白い研究が生まれると言った方がいいかもしれない。実際、大学では、生化学や物理化学は、もう完成された学問体系として講義されている。我々の研究室が取り組んでいるのは、まさに今、研究対象として、ホットな生物物理学である。
物理的な観点から、生物に影響を与えた人物としては、シュレーディンガーがあげられる。もちろん、量子力学で出てくるシュレディンガー方程式のシュレディンガーである。非常に難しい学問の一つ、量子力学の基礎を作ったシュレディンガーであるが、量子力学の発展には、なかなかついていくことができなかったという逸話も残っている。その、シュレディンガーが晩年に書いた本が、「生命とは何か」である。この本で、シュレディンガーは、個々の粒子は、個性を持たないにも関わらず、生物という多様なものが作られるのは、1 mol(6×10^23個)という非常に膨大な数の粒子の確率的な振る舞いが本質であると指摘した。これが、物理的に生物を説明できるという考えの先駆けとなった。ちなみに、この本に影響を受けた当時の若者として、ワトソンとクリック(物理学者)がいる。もちろん彼らは後のDNA発見者だ。
「生命とは何か」も非常にいい本であるが、やや内容も古く読みにくい部分もある。(薄い本なので読むとしたら英語版でもいいだろう。)そのような中で、数年前にベストセラーになった「生物と無生物の間」は、
非常に読みやすい。アメリカでの研究環境の話なども出てくるので、違う分野でも研究者を目指す人にも有用だと思う。同著者の「動的平衡」もいい。
他分野(だと自分が思っている)のことを自分のバックグラウンドをもとに考えてみると思わぬ発見があるかもしれない。
p.s. 佐々木研では、生物物理学が中心ですが、放射光学会、表面化学会、応用物理学会など様々な分野の学会にでるチャンスなどもあります。
物理的な観点から、生物に影響を与えた人物としては、シュレーディンガーがあげられる。もちろん、量子力学で出てくるシュレディンガー方程式のシュレディンガーである。非常に難しい学問の一つ、量子力学の基礎を作ったシュレディンガーであるが、量子力学の発展には、なかなかついていくことができなかったという逸話も残っている。その、シュレディンガーが晩年に書いた本が、「生命とは何か」である。この本で、シュレディンガーは、個々の粒子は、個性を持たないにも関わらず、生物という多様なものが作られるのは、1 mol(6×10^23個)という非常に膨大な数の粒子の確率的な振る舞いが本質であると指摘した。これが、物理的に生物を説明できるという考えの先駆けとなった。ちなみに、この本に影響を受けた当時の若者として、ワトソンとクリック(物理学者)がいる。もちろん彼らは後のDNA発見者だ。
「生命とは何か」も非常にいい本であるが、やや内容も古く読みにくい部分もある。(薄い本なので読むとしたら英語版でもいいだろう。)そのような中で、数年前にベストセラーになった「生物と無生物の間」は、
非常に読みやすい。アメリカでの研究環境の話なども出てくるので、違う分野でも研究者を目指す人にも有用だと思う。同著者の「動的平衡」もいい。
他分野(だと自分が思っている)のことを自分のバックグラウンドをもとに考えてみると思わぬ発見があるかもしれない。
p.s. 佐々木研では、生物物理学が中心ですが、放射光学会、表面化学会、応用物理学会など様々な分野の学会にでるチャンスなどもあります。
2011年5月27日金曜日
2011年5月23日月曜日
今日の名著 生物分子モーター―ゆらぎと生体機能
「コンピュータは、もの凄い計算をできるけれども、人間のように考えることはできない。」という内容の話は、よく耳にする。それでは、人間の脳とコンピュータの違いは何であろうか。その一つとして、人間の脳のあいまい性がある。同じ人間に同じような出来事が起きても、ある時は笑って済ませていたのが、ある時は怒りだすということもある。また、人は、突然、特に考えてもいなかったアイディアを思いつくこともある。
そんな、あいまいさは、実は生物が一般的に持っている特徴であり、揺らぎを利用した生物システムを考えると、うまく理解することができる。生物の持つ「揺らぎ」の研究は、日本で発達した研究といってよい。 今でこそ、ホットな研究テーマであるが、この本の著者である柳田敏雄教授は、かなり早い段階から1分子計測をすることで、ゆらぎと生体機能の関係を明らかにしていった。物理的な手法で生物の現象を明らかにすることを目標とした「生物物理学」のお手本のような研究であり、大学時代に半導体という全く違う分野を勉強していた柳田先生だからこそできた、学融合的な研究だと思う。
マクロの世界では、平衡状態でも、ミクロの世界はブラウン運動のように揺らぎが存在する。揺らぎを雑音としてとらえ、雑音に消されないような大きな信号を流す、「電子機器」と、揺らぎを積極的に利用し、あいまいさを許容した「生物システム」というのが、コンピュータと人間の根本的な違いと考えることができる。「揺らぎ」を利用したシステムを研究することで、生物に対する理解がより深まる可能性はまだまだある。また、ムーアの法則(コンピュータの性能が18カ月で倍になるという法則)が限界を迎えようとしているこれからの時代、「揺らぎ」と「あいまい性」を許容した新しいシステム(コンピュータ)のようなものが生まれるかもしれない。
p.s. 佐々木研究室でも、たんぱく質の1分子計測をおこなっています。ナノの世界のダイナミクスを研究することで、新たな概念、現象の発見を目指しています。
そんな、あいまいさは、実は生物が一般的に持っている特徴であり、揺らぎを利用した生物システムを考えると、うまく理解することができる。生物の持つ「揺らぎ」の研究は、日本で発達した研究といってよい。 今でこそ、ホットな研究テーマであるが、この本の著者である柳田敏雄教授は、かなり早い段階から1分子計測をすることで、ゆらぎと生体機能の関係を明らかにしていった。物理的な手法で生物の現象を明らかにすることを目標とした「生物物理学」のお手本のような研究であり、大学時代に半導体という全く違う分野を勉強していた柳田先生だからこそできた、学融合的な研究だと思う。
マクロの世界では、平衡状態でも、ミクロの世界はブラウン運動のように揺らぎが存在する。揺らぎを雑音としてとらえ、雑音に消されないような大きな信号を流す、「電子機器」と、揺らぎを積極的に利用し、あいまいさを許容した「生物システム」というのが、コンピュータと人間の根本的な違いと考えることができる。「揺らぎ」を利用したシステムを研究することで、生物に対する理解がより深まる可能性はまだまだある。また、ムーアの法則(コンピュータの性能が18カ月で倍になるという法則)が限界を迎えようとしているこれからの時代、「揺らぎ」と「あいまい性」を許容した新しいシステム(コンピュータ)のようなものが生まれるかもしれない。
p.s. 佐々木研究室でも、たんぱく質の1分子計測をおこなっています。ナノの世界のダイナミクスを研究することで、新たな概念、現象の発見を目指しています。
2011年5月22日日曜日
2011年5月20日金曜日
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