「わかる」という単語を変換しようとすると、
「分る」、「解る」、「判る」がでてくる。
現代の日本語ではどれでも大差はないと思うが、
語源を想像すると面白い。
「分る」は分割するという意味からきていて、分析好きの人にいいだろう。
「解る」は解答という意味からきていて、答えが存在する問題にいいと思う。
最後の、「判る」は判子(はんこ)という意味から来ていて、いかにもお役所的な
対応をするのによさそうだ。
さて、科学者の仕事を考えてみる。
いろいろな科学者を見ていると、「わかる」ということに対して、人によってスタンスが違うのが面白い。
たとえば、この問題の答えが「解った」というニュアンスで発表する人、
「分析」を中心に仕事を進める人、これは有名な先生が主張しているから「判った」というような権威主義の人など、科学者の数だけ考え方が違う。
科学者という仕事が、正直とらえどころがないのは、科学者が自由な職業だからだ。
この本では、
具体例を通じて、科学者の仕事の本質を考えさせてくれる。
筆者によると、科学者になるには究極的には以下の問題が解ければいい。
1)何かおもしろい問題を考えよ。
2)1)で作った問題の答えを考えよ。
確かにこれは本質をついていると思う。