人は物事を考えるときに、直線的に考えがちだ。1日の勉強で5点分ずつ実力をアップするといったような考え方がこれに当たる。このような考え方を「線形」という。実際は、学力というのはなかなか伸びない。付け焼刃はなかなか通用しない。テストの点数的にはなかなか伸びないが、勉強をコツコツと続けていく。すると、突然、点数が伸び始める。このように、まっすぐではない現象を「非線形」という。
「非線形」の本質は、フィードバックのあるシステムである。何らかの作用がおこることで、そのシステムに影響を与えるということだ。例えば、英語を勉強すると、英単語の知識が蓄積されて、どんどん英語の勉強が楽になっていく。
このように考えると、世の中の現象は、ほとんどすべて「非線形」といってよい。しかし、どうしても人間の理解は「線形」の方がわかりやすい。科学の世界でも、スケールによっては、「線形」近似が非常によく成り立つものも多いため、「線形」で議論されることが多い。だが、研究を進めていくうちに、「線形」では太刀打ちできない問題に出会う可能性もある。
この本は、そんな「非線形」現象について非常によくまとまっている。
