2011年8月22日月曜日

すごい実験


我々の使用している放射光施設SPring8は、第3世代と呼ばれている。
放射光とは、簡単に言うと、ものすごく早いスピードに加速した電子を磁場で曲げる時に発生する非常に明るい光のことである。その明るさゆえに様々な物質の状態を観測することができる。

第3世代ということは、当然第2、第1世代もあったわけだし、今後第4世代も現れる。(現在、開発がほぼ終わっているX線自由電子レーザーが第4世代となるだろう。)

初期段階は、原子核関連の実験などに用いられていた加速器から出ていて、もともとは捨てられていた光を利用して実験をしていた。この時代を第1世代という。
この後、放射光を得ることだけを目的として作られた施設が第2世代であり、さらに新しい技術が加わったのが第3世代である。

歴史からも分かるように、放射光と加速器は原理は同じであり、施設を建設する時の技術は共通部分も多い。
そのため、我々の使用するもう一つの放射光施設、高エネルギー加速器研究機構には、放射光の他にもいくつかの加速器施設がある。

放射光を使用している人は、いわゆる物性の専門家が多く、中には生物や化学が専門の人もいる。一方、加速器は素粒子物理学が専門の人が多く、物性とは現象のエネルギースケールが異なる。放射光のユーザーから見ると、加速器や素粒子は全く別の学問分野で、敷居が高いと感じているというのが正直なところだ。

以下の本では、
そんな素粒子物理の専門家が高校生に向けて講義した内容を書籍にまとめたものである。成功したらノーベル賞ともいわれる「すごい実験」を進めている著者は、金髪で長髪という非常に自由なスタイルで研究に励んでいる。
この本では、素粒子物理学の雰囲気を感じることができる。

すごい実験 ― 高校生にもわかる素粒子物理の最前線